科学研究費助成事業_2018年度

基盤研究(B)

氏名?職名土屋昌明 経済学部教授
研究課題名中国道教における聖地と巡礼に関する総合的調査と研究
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中国には数多くの洞窟が存在し、人間の力を超えた特殊な「場」として崇敬されてきた。洞窟の中には神が住んでいる。洞窟は「名山」にあり、そこで祈りや修行をした。また、洞窟どうしがつながっているとか、地下世界があるとか、が語られるようになる。本研究は、こうした洞窟に関わる話がどう発生し発展したか、なぜその場所が重要な洞窟とされたか、などを文献研究と現地調査で解明し、それによって中国の宗教?思想?文学の特徴を考える。
氏名?職名渡辺達朗 商学部教授
研究課題名人口減少?都市縮小時代の都市中心部の老朽化商業施設等の再利用?再開発に関する研究
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近年、人口減少?少子高齢化?都市縮小が急速に進展しています。そうした中で、都市中心部に1950?60年度に建設された共同店舗、アーケードを始めとする商業施設等が多数存在しており、それらの再利用?再開発をどのように進めるかが、まちづくりや商店街活性化にとって重要な課題となっています。この研究では、老朽化した商業施設の実態について調査するとともに、その再利用?再開発の方向について検討することを目的としています。
氏名?職名新田晴彦 商学部兼任講師
研究課題名航空管制の安全を脅かす母語話者の発音の乱れと対策の研究
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世界では一日に数十万機の飛行機が空を飛んでいます。これだけの数の飛行機が一機もぶつからないのはなぜでしょうか? 世界の空は航空管制と呼ばれる方法で交通整理が行われています。この交通整理は英語で行われるのが基本で、英語を母国語としない国でも英語が用いられます。航空管制の共通語は英語ですが、これが正確に聞き取れないと非常に危険です。私は、この航空管制の英語をいかに正確に聞き取るかの研究を行っています。
氏名?職名高岡貞夫 文学部教授
研究課題名高山池沼を核とする生物多様性の形成とジオダイバーシティ
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高山地域に点在する池を利用する動植物の多様性をテーマとしています。雨水や雪解け水を集めた小さな池であっても、川や湖のない高山地域では生物にとって重要な場所であると考えられます。池を中心に発達した生物多様性の特徴を、池と池の間のつながりにも着目しながら種レベルおよび遺伝子レベルで明らかにします。それとともに、そのような多様性が生み出される背景となる池の形成条件について、高山特有の気候条件や山の地形の成り立ちとの関係を明らかにします。
氏名?職名山本充 文学部教授
研究課題名ヨーロッパにおけるモビリティの増大に伴う農村人口変動と新たなルーラリティの創出
氏名?職名相澤勝治 文学部准教授
研究課題名メカニカルストレスを介した筋局所アンドロゲンの筋萎縮予防メカニズムの解明
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加齢や不活動によって筋力低下や筋肉量が減少する加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は転倒リスクや身体活動量の低下と密接に関連することが知られている。本研究では、サルコペニアを予防するために筋肉から産生されるアンドロゲンに着目し、身体運動に対する応答性や筋萎縮予防の機序について明らかにすることを目的としている。
氏名?職名丸山岳彦 文学部准教授
研究課題名「昭和話し言葉コーパス」の構築による話し言葉の経年変化に関する実証的研究
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本研究では、昭和時代の録音資料を集めて「昭和話し言葉コーパス」として整備し、一般公開することを目的とする。主に昭和30年代の録音資料(講演、雑談)を収集?整理し、研究用の情報を付与して、50時間分のコーパス(言葉のデータベース)を構築する。また、現代語の話し言葉コーパスとの比較?対照を通して、音韻?語彙?文法?文体?発話行為などの観点から、話し言葉がどのように変化してきたか、その実態を明らかにする。
氏名?職名三枝令子 文学部特任教授
研究課題名日本国内で医師をめざす外国人を対象とした医学語彙教材開発のための総合的研究
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世界的な規模で人が移動するようになり、日本でも外国人で日本の医師国家資格を持つ人が求められています。しかし、これまで外国人への医学教育は制度的に行われたことはなく、その方法もよくわかっていません。医学教育では、まず医学用語の習得が不可欠です。この研究では、日本の医師国家資格取得を目指す外国人のために、日本語教育、コーパス言語学等の手法を用いて、医学用語の調査研究と教材作成を行い、効果のある支援を目指します。
氏名?職名望月俊男 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名協調的議論の実現にむけた21世紀型スキルとしての認識主体性を育む学習環境の開発
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本研究では、協調学習における議論において、一人ひとりの学習者が効果的?能動的に議論を通した知識創造に携わることのできる「認識主体性」を育む学習環境を開発する。消極的な学習者も積極的な学習者も一緒になって議論に参加する上で必要なスキルを習得できるようにする。具体的には、消極的な学習者が前向きに議論に関わる経験をするためにタンジブル人形劇システムを用いて、消極的な学習者も積極的な学習者も互いに議論への関わり方を観察して振り返るためのシステムと、またそれを運用するための教育プログラムを開発する。
氏名?職名澤幸祐 人間科学部教授
研究課題名目的的行動から習慣行動への遷移を支える微視的理論と依存研究への応用
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「メールを読む」といった目的のためにスマホを使っていたはずが、「なんとなくスマホをいじる」というように、いつのまにか特段の目的なしに行動してしまうことがある。これは習慣行動の形成の例であり、場合によっては依存と呼ばれる状態に陥る。本研究では、目的行動を習慣行動へ変化させる要因を明らかにし、習慣行動や依存の形成を遅らせる方法や、行動変容のための介入がしやすい目的行動へと引き戻す方法について検討する。

基盤研究(C)

氏名?職名飯田義明 経済学部教授
研究課題名プロサッカー選手を目指す中学生のキャリア形成プロセスに関する研究
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これまで、学外でのスポーツ活動と学歴形成の間で揺れ動く子どもたちの進路選択の現状はあまり顧みられることはありませんでした。だたし、子どもたちの側からの研究は少ないながらも存在しています。その一方で、保護者側からの研究は全くされていません。そこで、この研究ではプロ選手を目指す中学生を抱える保護者を対象として、保護者からの聞き取り調査から、子どもたちの進路選択の過程と課題を明らかにしていくことを目指しています。
氏名?職名泉留維 経済学部教授
研究課題名オープン?アクセス化による新たなコモンズの創造
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他人の土地を所有者の了解無しに歩いても良いのでしょうか。とても景色が良く、魅力的な道があっても、日本では、国や市などが所有していない土地、私有地を勝手に歩くのはダメだと誰しも考えてしまいます。でも、これは万国共通の認識ではありません。たとえば、ヨーロッパの国の中には、たとえ私有地であっても自由に散歩などをすることができます。森林などの自然環境を守ろうとするときに、誰も立ち入れさせない聖域にして守ろうという考え方がありますが、逆に一定の条件下で自由に立ち入ってもらことで自然環境を守ろうという考えもあります。この後者の考え方を実行するためにはどのような条件が必要なのかを、現地調査を行いながら研究を進めています。
氏名?職名稲田十一 経済学部教授
研究課題名援助供与国としての中国の台頭と国際援助体制へのインパクトの分析
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近年、中国の対外援助の拡大が著しい。この研究では、①中国が多額の援助を供与しているカンボジア、ラオス、ミャンマーなどの国に焦点をあて、中国の援助がそれらの国の経済社会や政治外交にどのような影響を与えているのか、②中国主導の地域的な経済協力の枠組みが、これまでの国際的な援助協調体制にどのような影響を与えつつあるのか、を分析します。そして、中国型の援助アプローチの国際関係的な意義を明らかにします。
氏名?職名金榮愨 経済学部教授
研究課題名企業間ネットワークとイノベーション、生産性に関する実証研究
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企業は様々な形で他の企業と繋がっている。最も基本的な取引関係による繋がりから、株式の所有によって形成される資本関係、生産技術を通じた繋がり、地域的な近接生による繋がりもある。企業間ネットワークと呼ばれるこの繋がりは企業の成長、利益、雇用、イノベーションなど、様々なパフォーマンスに影響を与え、経済全体の成長にも繋がる。本研究は、このような企業間のネットワークがどのような要因で形成され、今どのような形になっているか、また、企業および経済のパフォーマンスにどれほど影響を与えるかを分析する。
氏名?職名小林昭裕 経済学部教授
研究課題名リスク?コミュニケーションを通じたコンセンサス形成と情報共有化による山岳事故軽減
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過去20年近くにはわたり、山岳事故軽減に向け、普及啓発活動をはじめ事故防止対策を展開しているが、遭難件数増加に歯止めがかかっていない。本研究は,利用者と警察をはじめとした遭難対策組織、環境省や地域行政機関を含めた関係者間のリスク?コミュニケーションの視点から、山岳遭難実態や事故軽減策に対するコンセンサスの形成および諸施策の効果の検証と情報の共有化を通じて、山岳事故軽減策の改善を図ることを目的とする。
氏名?職名中西泰夫 経済学部教授
研究課題名規制とイノベーション(R&D、パテント)の競争と経済成長に関する実証的分析
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この研究は、政府による規制が企業、市場にどのような影響を与えているかを実証的に検証することが目的である。政府の市場に対する規制を数量的に指標化して、特に規制が中心に行われている非製造業の市場と企業についてを分析対象として、個々の企業の個票データを収集して、最新の計量経済学の手法を用いて行われる。企業の生産構造、市場への参入?退出、イノベーション、企業成長に関して規制の効果を実証的にテストする。
氏名?職名中村吉明 経済学部教授
研究課題名ライドシェアリングの成功失敗5カ国のインスティテューショナル?イノベーション分析
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本研究では、日本のライドシェアリングの導入効果について、米国、中国、シンガポール、フィンランドと比較分析を行い、負の影響、正の影響を実証的に明らかにする。具体的には、法制度や既存業界の反対が参入障壁になっているほか、仮に導入されても、各国の法制度遵守の度合いや産業構造によって差異が生ずるため、上記5カ国の比較分析を行い、日本のライドシェアリング等の政策と当該企業の経営戦略の立案に貢献する。
氏名?職名長尾謙吉 経済学部教授
研究課題名産業集積の多層性と都市の革新性
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経済活動の「縮小」が議論されはじめた日本において、他の先進諸国と同様に、革新(イノベーション)を生み出す場所として大都市に関心が高まっている。本研究は、産業の集積が多層的であることが大都市の革新的活動を理解する一つの鍵であるという問題設定のもと、通常考えられている物理的距離だけでなく、組織的距離や文化的距離など認知的距離についても検討し、分野横断的な革新を可能とする都市の知的探求を進めている。
氏名?職名野口旭 経済学部教授
研究課題名経済危機におけるマクロ経済政策の理論と思想
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本研究の課題は、リーマン?ショック以降の各国のマクロ経済政策の背後にある理論と思想を解明し、今後のマクロ経済政策の教訓を引き出すことにある。危機以降、各国の政策当局は、量的緩和やマイナス金利政策などの非伝統的金融政策を行ってきた。また、ヘリコプター?マネー政策などの金融財政統合政策も論議されてきた。しかし、その意義や効果については専門家の間でも見解が対立する。さらに、それらの政策からの出口をどう想定すべきかも見解が分かれる。本研究では、こうした競合する政策的な立場を、政策生成プログラムという概念を用いて整理し、経済政策のあるべき方向性を展望する。
氏名?職名塙武郎 経済学部教授
研究課題名アメリカ学校区の予算編成?起債における州学校資本補助金の役割と政府間財政関係
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本研究では、教育大国アメリカで小中学校および高校の新規建設や増改築等に必要とされる財政資金が、州の下部行政組織ながら強い独立性をもつ「学校区」ごとの借金(一般財源保証債の発行)によって賄われるという分権システムについて、財政力の弱い学校区に対し州(上位政府)はどのような財政支援を行っているのか、また州と学校区にはどのような政府間財政関係が形成され、何が課題とされているのかを、事例研究を通じて分析する。
氏名?職名松井暁 経済学部教授
研究課題名グローバル?イシューの規範理論にむけて
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世界が国境を超えて緊密に結びつくようになるグローバル化は、経済にとどまらず、戦争、貧困と格差、地球環境、生命倫理、食料と健康、教育、企業倫理に関する地球次元での問題を浮上させました。社会のあるべき姿を提示する規範理論は、これまで個別の領域ごとに研究されてきたためにグローバル化に十分対応できませんでした。本研究の目的は、個別の規範理論を総合するグローバル?イシューの規範理論に大まかな枠組みを提供することにあります。
氏名?職名徐一睿 経済学部准教授
研究課題名「一帯一路」における中国国内の地域経済への影響に関する実証研究
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「一帯一路」の推進は中国国内外における新しい都市拠点の構築及びそれをつなぐ道路、鉄道、港湾、空港を建設することで、新しい社会資本の投資が生まれることが期待されている。本研究は「一帯一路」における中国国内の地域発展戦略として捉え、中国国内における地域振興戦略、都市化の進展、国境間物流ルートの確保を対象に、中央政府及び地方政府、さらに民間アクターがこうした「一帯一路」政策の下でどういった行動が取られるか、そしてその財源はいかに確保されているかを検証する。
氏名?職名谷ヶ城秀吉 経済学部准教授
研究課題名戦前?戦後の商社組織と機能に関する連続と継承の基礎的研究
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三井物産をはじめとする商社は,日本の経済成長に貿易面で貢献してきました。商社を対象とする歴史研究は,戦前の事例を中心に多くの成果が提出されています。しかし,戦前の商社が構築した組織や機能が戦後に継承されていく過程は,まだ十分に明らかにされておらず,検証の余地を残しています。そこで本研究では,商社に勤務していた関係者が残した未整理資料の利用や関係者に対する聞き取り調査を通してこれらの点を明らかにしていきます。
氏名?職名榎透 法学部教授
研究課題名日本におけるヘイト?スピーチ規制に関する憲法学的考察
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ヘイト?スピーチは、日本社会でも現在大きな問題となっており、憲法学界でも外国法等を参照しつつそれに対する規制の是非が議論されています。本研究は、日本でヘイト?スピーチ規制を行うべきかどうか、規制する場合にはどのようなヘイト?スピーチに、どのような規制を加えるべきなのか、また、規制を加えなければヘイト?スピーチは解消しないのかを検証し、法規制を用いないヘイト?スピーチ対策について検討します。
氏名?職名菅原光 法学部教授
研究課題名新しい明六社研究―私塾?結社における伝統と近代
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日本で初めて結成された学術団体だと言われている「明六社」についての研究です。明六社は、演説会を実施したり、雑誌を発行するといった活動を通じ、国民に最新の知識、知見を紹介しました。その具体的な活動内容を明らかにすると共に、その意義を考察しています。とりわけ、明六社に関わった人々が、江戸時代以来の学問成果をどのように引き受けつつ、西洋学術をどれほど深く学んでいたのか、それらをどように消化して自らの主張を形成したのかという点に注目しています。
氏名?職名田上麻衣子 法学部教授
研究課題名伝統知の多面性に即した保護手法の総合的研究
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ある民族や地域で代々伝承されてきた知識をヒントに新しい製品が開発されたり、伝統的な文様が新たなデザインに繋がったりするように、伝統知(伝統的知識)は様々な創造?創作活動に影響を与えています。しかし、伝統知自体は原則として現行の知的財産制度の保護対象ではないため、現在、その保護の必要性や保護の手法について国際的な議論が行われています。こうした動きを受けて、本研究では伝統知の望ましい保護のあり方について検討します。
氏名?職名根岸徹郎 法学部教授
研究課題名フランスの対外文化政策の一環としてのクローデルの駐日大使赴任に関する調査と研究
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1921年から1927年まで駐日フランス大使を務めた詩人?劇作家ポール?クローデルの日本における外交?文学活動に注目し、第一次世界大戦という大きな節目のあとの世界の再編成という状況と、メディアが飛躍的に発達した1920年代に、クローデルが担った外交上の役割を検証することで、20世紀に入って大きく転換?発展したフランスの対外文化外交の方向性と戦略を明らかにします。この研究は当時の世界?社会情勢の中での文化外交に光をあてつつ、歴史研究?文学研究?外交研究の領域を横断するものです。また、インターネットなどのメディアが急速に発達する今日の状況を検証する上で、示唆をあたえるものです。
氏名?職名渡邊一弘 法学部教授
研究課題名少年司法における調査?鑑別と処遇との連携状況についての分析
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本研究は、非行少年による再犯?再非行予防政策において重視されている、①非行少年の非行原因を理解するため科学的調査の機能の検証、および②鑑別調査